今回は子供向けによく買われているスポーツ用度付きメガネ(ゴーグル)を調査し、比較してみようと思います。この記事が初めてご購入される方の参考になれば幸いです。


スポーツ用メガネ(ゴーグル)とは

 今回ご紹介する「スポーツ用メガネ(ゴーグル)」とは、スポーツの際の接触やボールによる衝撃、砂埃、花粉などから眼を保護し、安全かつ快適にスポーツを楽しめるようにすることを目的としてつくられたメガネやゴーグルのことです。基本的な使用対象者は、普段の生活で度付きのメガネやコンタクトを必要としている方で(裸眼で目のケガを防ぐために装着される方もいらっしゃいます)、フレームに自分の視力に合ったレンズを組み合わせて使用します。

 スポーツ用メガネ(ゴーグル)はとくに子どもにおすすめです。まだ心身が成長しておらず、危険を回避する能力が低い年齢では、普段のメガネをしたままやメガネをせずよく見えない状態でスポーツをした場合、深刻な怪我を負うリスクがより高まるからです。外で遊ぶときや、体育の授業やクラブ、部活動などに活用していただけたらなと思います。


「ゴーグル型のスポーツ眼鏡」のみ認められる競技も

 近年では、使用者やまわりの競技者に対してのスポーツ用メガネの安全性が公に認められつつあります。公式団体や協会において規則の中にスポーツ用メガネの使用について記載している場合も少なくありません。たとえば、川崎市サッカー協会の規定には、「公式戦において通常の弦のある眼鏡は認めず、ゴーグル型のスポーツ眼鏡のみ着用を許可する」との記載があります。


比較するモデル

 今回比較するモデルは、RECSPECS(レックスペックス)のRS-51、CONVERSE(コンバース)のCVG003、SWANS(スワンズ)のSVS SeriesとGUARDIAN Seriesの3ブランド4種類になります。

 それぞれの商品の価格は以下のようになっております。(メガネナカジマ Style N ウェブショップより)

 ちなみに上の価格はゴーグルのフレームのみの価格であるため、この価格にレンズ代が加算されます。


安全性と向いているスポーツ

 それぞれのメガネがよく使用されるスポーツについて楽天市場やAmazon、お店に寄せられる口コミをもとに調査したところ、どのブランドでも「サッカー」、「バスケットボール」「バレーボール」、「野球」が多く、実際に使われているスポーツにはあまり差がないように感じました。  そこでメーカーがどのようなスポーツの基準に合わせてフレームをつくっているのかを調べるため、各ブランドのサイトをチェックしてみました。

 そもそもですが、RECSPECSとはアメリカのLiverty社が出しているスポーツゴーグルのブランドです。そのなかでもRS-51は日本人が使いやすいように、日本人の骨格に合わせて鼻の高さやフレームの形状を調整したモデルになります。そのため、スポーツの衝撃に対する安全性の試験もアメリカ発の国際規格ASTMを基準に試験されており、RECSPECSの製品は野球、バスケットボール、サッカー、ハンドボール、ホッケー、ラクロス、ラケットスポーツに対する試験に合格しているそうです。規格とはメーカーなどがつくった製品の品質が一定の水準以上であることを保証するもので、国際規格はそのなかでも世界的に通用する規格になります。RECSPECSのフレームは、ポリカーボネートのレンズと組み合わせることでASTMのF803規格に合格しています。この規格はスポーツプレーヤーが使用するために設計された保護メガネを対象としていて、ラケットやボールによる衝撃や貫通による製品の損傷、眼へのダメージを最小限に抑えることを目的とするものです。ちなみにRECSPECSのフレームのラバー部分は低アレルギー性の素材でできているのも嬉しいポイント。

 CONVERSEのCVG003。こちらは福井県鯖江市にある青山眼鏡株式会社が、CONVERSE社とライセンス契約をしてつくっている商品になります。青山眼鏡株式会社自体は1964年創業でライセンス製品からオリジナル製品まで顧客にあわせた多様な製品を生み出しています。CONVERSEのCVG003は、一般財団法人日本眼鏡普及光学器検査協会(JSOI)が検証する「耐衝撃性」および「耐荷重強度性」の試験に合格しているそう。つまり、ラケットやボールがフレームにあたったときの衝撃や負荷による損傷を抑えることができるようです。JSOIでの試験はどのような基準で行われているのか調べたところ、JISやISO、ANSI、FDAなど試験内容や状況、機材によって適用する基準を変えているようでした。そのためCVG003の試験においても、状況に十分に適応した規格に合格したことが予想されます。また、CVG003は公益財団法人日本学校保健会推薦用品の認定を受け、子供の健康課題に適切に対応する製品とされており、行われた試験の信頼性を裏付けています。

 SWANSはメガネメーカー山本光学株式会社のブランドであり、日本製のスポーツアイウェアブランドとして100年を超える歴史を持っています。長年日本人に合わせて技術研究をし続けてきたため、SWANSの製品は日本人の用途やサイズにジャストフィットするものとなっています。SWANSのSVS SeriesとGUARDIAN Seriesには具体的な強度の試験に対する記載はなく、サッカー、野球、バスケットボールなどで起こりうるボールなどの強い衝撃やプレー中の接触などから眼を護ると書かれています。もともと山本光学株式会社は創業当時より保護具の開発に力を入れていました。そのためSWANSブランドの全ての製品は、目や身体を護るための強度や安全性が担保されているか、その製品が装着者やまわりの競技者を傷つける可能性がないかなど、高い安全基準の中でつくられています。したがって、社内の強度に対する試験設備が整っており、製品に要求する基準も高いことがうかがえるので、SVS SeriesとGUARDIAN Seriesにおいてもスポーツに対応した高い強度が期待されます。


カラーとサイズ展開

 つづいてはカラー、サイズ展開において比較していこうと思います。いずれも2024年4月8日時点での情報であり、小売店やサイズによっては取り扱っていないカラーもございますのでご了承ください。

 RECSPECSのRS-51は顔の形に合わせてレンズ部分がカーブしたようなデザインです。カラーはシャイニーブラック、マットネイビー、マットブラック、ネイビー、クリムゾンの5色展開。サイズは小学生向けの「53サイズ」および中学生以上向けの「55サイズ」の2種類です。

 CONVERSEのCVG003は3ブランドの中で一番カーブが浅め。バンド部分のCONVERSEのロゴとサイドラバーの星マークがポイントです。カラーはブラックパール、ブラック(MT)、ワインレッドパール、ダークネイビー、クリアグレーの5色に加えて、小売店とのコラボレーションカラーもあるようです。サイズはレンズの横幅のみ違う「55mmサイズ」と「53mmサイズ」の2種類で小学校高学年から中学生程度を対象としています。

 SWANSのSVS SeriesとGUARDIAN Seriesはややカーブがあり立体的なデザイン。SVS Seriesのカラーはクリアスモークとクリアの2色で、サイズは小学校低学年向けの「SVS-700N」、小学校高学年向けの「SVS-600N」の2種類です。GUARDIAN Seriesは小学生向けの「GDS-001」と中学生以上向けの「GDX-001」の2サイズ。カラーは「GDS-001」ではクリア×ブラック、ソリッドブラック×ブラック、ネイビー×ネイビーの3色展開、「GDX-001」ではクリア×ブラックとブラック×ブラックの2色展開です。


使用感とフィッティング

 これらのゴーグルを使っていくうえで気になるのは、レンズの見え方や曇りにくさ、付け心地だと思います。実際の商品を比較するとともに、それぞれのゴーグルを実際に使っている方の使用感を知るため、楽天市場やAmazon、お店に寄せられる口コミも参考にしました。また、SWANSのGUARDIAN Seriesについては、小学生向けと中学生向けではフレームデザインなどが異なるので、今回は小学生向けの「GDS-001」の説明のみに絞ろうと思います。

 まず見え方ですが、口コミでは4種類ともあまり言及されておりませんでした。そこで私が実際に着用してみたところ、総合的なの視界の広さとしては広い順に、「RS-51」>「CVG003」>「GDS-001」>「SVS Series」という印象でした。まず、「RS-51」はカーブが深いため左右の端までしっかりとみることができました。また、フレームが視界に入ってこなかったので、スポーツに集中しやすそうだと思いました。目まわりの骨格にフィットしている感覚です。「CVG003」はカーブが一番浅いのですが見え方は「RS-51」に劣らず、視界にフィットしている感じがありました。レンズサイズが大きいのもあり、視界が広く感じられ、さらにフレームのサイドには穴が開いているため、目の端でも物をとらえることができました。フレームが視界に入ってくることもありませんでした。SWANSについて、「GDS-001」はレンズの横幅が長く、「SVS Series」はフレームのサイドに穴が開いているので目の端の動きもしっかりと追うことができそうです。一方、どちらのモデルもフレームと顔の間のシリコン部分に厚みがあり、視界の端への映り込みがやや気になるかなと思いました。



 つづいて曇りにくさです。どうしてもスポーツをしていると湿気や汗でレンズが曇ってきてしまいますが、その際の曇りの発生しやすさや、すぐ曇りが引くかといった点が重要になってくると思います。そこで、私自身がゴーグルをかけた後にマスクを被せ気味に着用し、どのモデルが一番曇りにくいか、曇りが引きやすいかを実験してみました。曇りやすさはマスクをつけるとどれもすぐに曇ってしまい、違いがはっきりとわからなかったのですが、曇りの引きやすさにはかなり差が出ました。まず、一番はやく曇りが解消されたのは「CVG003」、ついで「SVS Series」と「RS-51」、最後が「GDS-001」の順でした。また、口コミ調査でも「CVG003」はとくに曇りにくいといった意見が多くみられました。  それぞれの曇りやすさの差は、密閉性の差によるもので、フレームの形状や、フレームと顔の間にあるシリコン部分の構造によってできるものだと思います。「CVG003」はシリコン部分に通気口が多く、フレームのサイドにもやや大きな穴が開いており、空気の通り道がいくつもあります。一方でSWANSの2モデルは「CVG003」ほど穴が開いておらず、かなり密閉性があるように感じます。「RS-51」はシリコン部分がほぼありませんが、フレームのカーブが深いため、かなり顔に密着した形状になっています。こういった点で差が生まれたのかなと思います。

 「曇りにくさ」に焦点をおくと、前述のような見方になりますが、「花粉症対策」に注目すると違った視点になってきます。空気中の花粉は密閉性の高い方がフレーム内に侵入する可能性が低くなるため、先ほどと逆で、一番優れているのが「GDS-001」、つぎが「SVS Series」と「RS-51」、最後に「CVG003」という風になります。実際に、SWANSや「RS-51」では花粉症対策に使用している方も多くみられたほか、汗が目に入るのを防げて快適との口コミもありました。  個人的には、汗っかきな方や花粉が気にならず、とにかく曇らないものが欲しい方は密閉性の低いモデルを、花粉が気になる方は曇り止めの併用やレンズを防曇加工にするなど対策を行ったうえで密閉性の高いモデルを使用するのがいいのではないかと思いました。



 付け心地やフィッティングについても調査しました。「RS-51」は私が着用してみたところ、やはり顔に沿ってカーブしているため、フィット感があり、顔に密着している感じもありました。バンドをきつく締めすぎると鼻の部分が圧迫されて痛かったので適切に調節するといいと思います。「CVG003」は口コミで、鼻が痛いとの意見が多く寄せられていました。実際つけてみると鼻の部分のシリコンが固く、鼻にあたるとやや圧迫感を感じました。お店によっては鼻パットを削って付け心地を改善してくださるところもあるようなので、買われる方は検討してみた方がいいかもしれません。SWANSの「SVS Series」と「GDS-001」は、顔によくフィットして安定感があるとの口コミが多くみられました。シリコン部分に厚みがあり、適度な柔らかさで顔の形に沿ってカーブしているため、密着感やフィット感が優れているように感じます。また、バンド部分がマジックテープで調整できるため、調整しやすく、装着後も自分で長さを変えられるという声もありました。



交換用パーツ

 交換用パーツは練習中についてしまった汗や土汚れなどを洗濯するときの替えや、万が一パーツが破損してしまったときの予備として便利です。ゴーグルの顔にあたる部分は顔当たりの良さや衝撃の緩衝材としての役割があるため柔軟性のあるゴムやシリコンなどを使用しています。そのため長い期間使っているとどうしても劣化してきてしまう消耗品です。また、フレームを支えるバンド部分は劣化とともに、使っているうちに衛生面でも気になってくると思います。同じ製品を使い続けていくうえでも交換用パーツの存在は重要になってきます。

 それぞれの交換用パーツにどのようなものがあるか下にまとめました。各社ともにバンドやパッドなど充実しており、購入した後も安心です。



最後に

 この記事を読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。使用感などの記載はあくまでも私の主観ですので、ご自身で着用して体感してみることをおすすめします。また、スポーツの大会などでスポーツ用メガネ(ゴーグル)を使用する際は、メガネに対するガイドラインが定まっていないスポーツも多々あるので、その商品が適切であるかを必ず関係者の方に相談したうえでご購入をご検討ください。 ぜひスポーツ用メガネ(ゴーグル)を活用して、スポーツを思い切り楽しんでください!