
度付き保護メガネの特徴を解説|現場で快適に使えるおすすめモデル比較
この記事では製造業や建設業に従事されている方、工場勤務されている方、機械作業やDIYをされる方などに向けて度付き保護メガネについて解説していきたいと思います。度付き保護メガネとは丈夫なフレームに強度の高い度付きレンズを組み合わせ、度付きメガネと保護メガネの機能を両立させたメガネのことです。今回はARX、REC SPECS、bollé SAFETYの3つのメーカーの度付き保護メガネの特徴を比較します。この記事が皆様のお役にたてれば幸いです。
※度なしの場合はレンズの特徴がやや異なります。ご了承ください。
度付き保護メガネにするメリット
普段度の入ったメガネを使っている方が保護メガネを併用する場合、「普段使用しているメガネの上からオーバーグラス保護メガネをかける場合」と「度付きにできる保護メガネを使う場合」のどちらかなると思います。
オーバーグラスは価格が安く手に入れやすいため、ライトに使う方には最適です。しかし、定期的に着用する方や長時間着用する方にとっては、メガネを2重にかけることになるので視界が制限されたり、重さや顔へ接する面積の多さで不快感やストレスを感じたりといった問題が生じやすくなります。またオーバーグラスの種類によっては、下に着用するメガネの大きさが制限されてしまったり、下に着用するメガネが傷ついてしまったりする可能性もあります。
一方で度付きにできる保護メガネの場合は価格が高く、レンズの作製時間により手元に届くのが遅くなるため、使用までのハードルが高めです。しかし、作業の際には度付きの保護メガネ1本で済むため、重さや不快感、煩わしさは軽減され、普段のメガネの大きさに対する制限やダメージを防ぐことができるというメリットがあります。
オーバーグラスの保護メガネに不快感を感じている方や、コンタクトでの作業に不快感を感じている方など、一度、度付き保護メガネを検討してみてはいかがでしょうか。
今回比較するモデル
今回比較する度付き保護メガネはARXのARX safety(typeS)、 bollé SAFETY(ボレーセーフティー)のTRYON RX(トライオンRX)、 RECSPECS(レックスペックス)のPPE TRBZの3種類です。それぞれメーカーからの情報、楽天市場やstyle-netに寄せられた口コミ、実物からの情報をもとに比較していきます。
レンズの性能と価格
まずはそれぞれのメガネで、レンズの素材やコーティングによる強度と曇りにくさ、構造上の視界の広さ、価格を順に見ていきます。
強度
ARX SAFETYはレンズに独自の技術で開発したクリスタルポリカを使用しています。クリスタルポリカはポリカーボネート素材のレンズで、耐衝撃性に優れたレンズとなっています。
bollé SAFETY TRYON RXは、デフォルトでポリカーボネートレンズとなっており、こちらもARX同様に耐衝撃性に優れたレンズとなっています。また、オプション(+5,000円)でポリカーボネートレンズをトライベックスレンズに変更することが可能です。トライベックスはポリカと同様に耐衝撃性を持つ素材です。さらにトライベックスレンズは化学物質や溶剤への耐性が高く、安全性や長く使いたいという方にはぴったりの素材です。また、bollé SAFETY TRYON RXのレンズはどちらのレンズにおいても耐傷性に優れたプラチナコーティングがされています。こちらのコーティングは欧州規格のEN166を合格しており、高い安全性が保障されています。
REC SPECSのPPE TRBZは上述の2モデルとは違い、純正でのレンズはございません。HOYAやITO LENS、TSL、SA VISIONなどのメーカーのレンズを使用して当店にてレンズを製作します。HOYA PHOENIX(ホヤ フェニックス)を除いては通常のレンズと同じプラスチック素材でできており、強度はポリカーボネートレンズやトライベックスレンズほどはありません。屈折率1.53のHOYA PHOENIXはフェニックス素材を使用しており、こちらはトライベックス素材と同様に耐衝撃性と化学物質や溶剤への耐性に優れたレンズになっています。そのため、十分な強度を求める方はHOYA PHOENIXがおすすめです。
曇りにくさ
ARX SAFETYは曇り止め加工がされておらず、オプションでつけることもできません。曇りが心配なようでしたら、併せて曇り止めをお買い上げいただくことをおすすめします。
bollé SAFETY TRYON RXはレンズに施されたプラチナコーティングにより、とても強力な防曇機能があります。
REC SPECSのPPE TRBZは強度の部分でも書きましたが互換性のレンズになります。レンズタイプのみ選んだ場合は曇り止め加工はされていません。曇りが心配な場合は、併せて曇り止めをお買い上げいただくか、オプションとして曇り止め加工(+5,500円)を行うことも可能です。ご検討の際はご相談ください。
視界の広さ、歪み
ARX SAFETYのレンズであるクリスタルポリカは、ポリカーボネート素材の強度を生かしたまま、素材の弱みである視界の歪みを抑えてはっきりクリアに見えるように設計したレンズです。また、最新設計である両面非球面レンズとなっているため、視界の歪みが抑えられます。視界の広さとしては、私が試着してみたところ正面と下への視界はとても明瞭で、手元での作業に向いているように思いました。上への視界はフレーム上部に安全ソフトカバーがついているため、やや限られてしまう印象でした。また左右への視界はサイドガードがついているため視界は制限されます。サイドガードが透明なため様子がややぼやけては見えるのですが、歪んでいるようにも見えてしまうため、レンズで酔ってしまう方などは注意が必要です。
bollé SAFETY TRYON RXのデフォルトであるポリカーボネートレンズは、強度は優れていますが、視界の良さは他よりやや劣ります。オプションであるトライベックスレンズの見え方は、普段使いの度付きメガネとほぼ同様です。トライベックスレンズはポリカーボネートレンズに比べて視界の透明度が高いレンズとなっています。視界の広さとしては、今回比べた3本の中で一番フレームとレンズのカーブが深くなっており、左右への視界が開けています。また、フレームの上下にガードなどついていない分上下の視界も開かれており、とても視界の広いつくりとなっているようです。
REC SPECSのPPE TRBZのレンズの場合、どのレンズにおいても普段使いしているような度付きメガネと見え方はほぼ同じです。また、撥水加工や反射加工がもともと施されているため、水滴や光の反射による視界の妨げにも強いです。視界の広さですが、アイカップ装着時はアイカップにより上下左右への視界が制限される印象でした。アイカップを外した場合は、bollé SAFETY TRYON RXほどではありませんが、かなり視野が広くなる感じがしました。
価格
以下の価格情報は2025年7月29日のメガネナカジマStyle Nウェブショップより引用したものとなります。価格はフレーム代とレンズ代を足したすべての合計の値段となります。価格が変更されている可能性はございますが、ご参考にしていただけると幸いです。
ARX SAFETYの場合は製作範囲内のすべての度数で税込19,800円となります。
bollé SAFETY TRYON RXは、レンズの素材により価格が変わります。レンズの素材をポリカーボネートにした場合は製作範囲内のすべての度数で税込44,000円となります。オプションでレンズの素材をトライベックスに変更された場合は、製作範囲内のすべての度数で税込49,500円となります。
REC SPECSのPPE TRBZのは、レンズタイプでお選びいただくレンズの種類によって価格が変わります。一番安いレンズタイプで税込30,700円、一番高いレンズで税込48,700円となります。
デザイン性とフィッティング
続いて、それぞれのメガネの見た目や掛け心地、顔へのフィッテングの良さなどを比較していきます。
デザイン性と着用時の外観
ARX SAFETYは他の2つのメガネに比べてフレームのカーブが浅いのが特徴です。これにより、日本人の顔にちょうどフィットするような形になっています。また安全面に大きく留意したデザインとなっており、上部からの粉塵の侵入を防ぐクッション状の安全ソフトカバーと、左右からの衝撃を防ぐ大きめなサイドガードがついています。カラー展開はブルーとブラックの2種類となります。
▼ARX SAFETY ブルー
▼ARX SAFETY ブラック
ARX SAFETYブラックを着用した外観はこちらです。
続いて、bollé SAFETY TRYON RXは他の2つのメガネに比べてフレームのカーブが最も深くなっています。フロントからテンプルにかけて綺麗な一体的な曲線を描いており、シャープでスポーティーな印象を与えてくれます。フレームに目を囲うようなガードやクッションはついていないため、すっきりとしたスタイリッシュな見た目をしていますが、細かい粉じんなどにさらされる環境では注意が必要です。カラー展開はブラック&ブルーの1種類となります。
▼bollé SAFETY TRYON RX ブラック&ブルー
こちらがbollé SAFETY TRYON RXを着用した外観です。
そしてREC SPECSのPPE TRBZですが、全体的なフレームの形状はARXに似ており、フロント部分がやや緩やかなカーブを描いています。アイカップ装着時は両目がそれぞれ黒いクッションに覆われるような形でしっかりと目を守ってくれます。アイカップを外した場合は、装着時よりややカーブが深くなったような雰囲気になり、スポーティーな印象へと変わります。作業によってアイカップを着脱し使い分けできるのがPPE TRBZの利点です。カラー展開はクリア(シャイニークリア)とブラック(シャイニーブラック)の2種類です。
▼REC SPECS PPE TRBZ シャイニークリア
▼REC SPECS PPE TRBZ シャイニーブラック
REC SPECS PPE TRBZシャイニークリアを着用した外観はこちらです。
▼アイカップあり
▼アイカップなし

それぞれ3種類のフレームのカーブを比べた画像がこちらになります。bollé SAFETYのカーブが一番深いです。ARXとRECSPECSの全体的なカーブは同程度ですが、フレームのフロントに着目するとARXのほうがやや平面的であるのがわかると思います。
装着感やズレにくさ
ARX SAFETYはこの3つの保護メガネの中で一番日本人の顔にフィットしやすいです。私が試着してみたところ、鼻へのかかりが良く、フレームの下部が頬骨の形にぴったりフィットしました。フレーム上部には安全ソフトカバーが付いており、フレーム下部は頬にフィットすることによって上下からの粉じんの侵入を防ぐことができそうです。フィット感が抜群でしっかりと鼻パッドがフレームを支えてくれるため、顔を大きく動かしてもずれたり外れたりしません。テンプルがフィット感の良い樹脂素材でできているため、側頭部に柔らかくフィットして締め付けも少なそうです。ただ、フレームの下部にはスポンジや空気穴などがなく、顔への密着度が高い設計のため、汗をかいた際はフレーム下部に溜まってしまいそうな印象です。度なしレンズ装着時の重量は35gで、今回比較したメガネの中では2番目に軽い結果でした。
続いてbollé SAFETY TRYON RXですが、こちらはカーブがかなり深くノーズの位置もやや高いため、日本人の顔にはやや合いづらい形状です。私が試着してみたところ、フレーム下部が頬の高い位置に乗っかるような感じになり、ノーズはあまり鼻と接しませんでした。フレーム下部とテンプルで顔にフィットするような形になるため、安定性自体は高く、ズレの心配はなさそうです。また、ノーズ部分は柔らかい素材でできており、ノーズの形を自分好みに調整できるようになっています。フレーム下部は頬と接することである程度密着しますが、フロント部分がやや斜めにフィットするため、フレーム上部は数ミリほど全体的に隙間ができてしまい、細かい粉じんなどにさらされる環境では注意が必要です。頬と接する部分には汗がたまるかもしれませんが、通気性がいいため汗が乾きやすいと思います。度なしレンズ装着時の重量は25gで、今回比較したメガネの中では1番軽い結果でした。
最後にREC SPECSのPPE TRBZです。こちらのカーブはあまり深くはないのですが、日本人向けの設計にはなっておらずフレームとノーズが一体型になっています。私が試着してみたところ、アイカップ装着時は頬とテンプル部分でフレームを支える形になり、ノーズがあまり鼻と接しませんでした。アイカップを外した場合はノーズ部分がしっかりと鼻にかかり、かなりフィットした掛け心地になりました。どちらの状態でもフレーム上部と額との隙間はややできてしまいますが、安定性は高いように感じたので、ズレの心配はなさそうです。またPPE TRBZは調節可能なストラップが付属しているため、さらに激しい動きにも対応可能です。汗をかいた場合、アイカップ装着時はアイカップの通気口から抜けるか、スポンジ部分に吸収される形になりそうです。アイカップを外した場合はややフレーム下部と頬が接しますが、他の2モデルよりは密着度が低いため汗が溜まりにくいように感じました。度なしレンズ装着時の重量は25gで、今回比較したメガネの中では1番軽い結果でした。
▼REC SPECSのPPE TRBZ アイカップあり
▼REC SPECSのPPE TRBZ アイカップなし
最後に
この記事を読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。この記事が皆様が保護メガネを選ぶ参考になれば幸いです。
店舗でのご試着について
こちら記事でご紹介したフレームはメガネナカジマの店舗で試着することができます。
もし興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、ご来店お待ちしております。
店舗の場所はJR南武線の中野島駅の目の前。
詳細は以下のとおりです。
住所:〒214-0012 神奈川県川崎市多摩区中野島3-14-2
定休日:木曜日(詳細は営業日カレンダーを御覧ください)
営業時間:10:00〜19:00
※商品の在庫がない場合もございます。ご了承ください。