曇り止め加工レンズとメガネの曇り止めどっちがおすすめ?それぞれのメリットとデメリットについて特徴を比較しました!

公開日:2025年11月4日

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 みなさんは冬場の寒暖差やマスクなどによるメガネの曇りはどのように対策されていますか?ネットで対策方法を調べてみると、「曇り止め」の他に「曇り止め加工レンズ(防曇レンズ)」も出てきて結局どっちがいいの?と思った方も多いはずです。

 そこで今回は、曇り止め加工レンズ(防曇レンズ)と曇り止めの特徴について両者を比較しながら説明していきたいと思います。この記事がみなさまのメガネ生活のお役に立てれば幸いです。

曇り止め加工レンズ(防曇レンズ)とは

防曇レンズとはメガネをつくる際に、あらかじめレンズの両面に曇りを抑制する特殊なコーティングを行い、曇りを発生させにくくしたレンズのことです。レンズメーカー各社からそれぞれ販売されており、メーカーによって防曇レンズの設計が異なるため、特長もそれぞれ違います。防曇レンズをお求めの場合、メガネナカジマではフレーム代と通常のレンズ代に加え、防曇レンズオプションとして5,500円を加算した代金をいただく形となります。また、どの防曇レンズにおいても「メガネをつくったあとから防曇コーティングを付け足す」ということはできず、注文時にコーティングをご依頼いただく形になります。

今回比較する曇り止めと防曇レンズ

 防曇レンズと曇り止めは各々の中でも特徴が異なるため、ひとくくりに評価するのは難しいです。そこで今回は、防曇レンズ2種類と曇り止め2種類を選出して比較していきます。

 防曇レンズはメガネナカジマで主に扱っている、HOYAの「KUMORI 291プラス」とIto Lensの「BDコート」を選びました。「KUMORI 291プラス」はメンテナンスフリーで特別な手入れが要らず、汚れを落としやすいのが特徴です。一方「BDコート」は手入れに専用のクロスが必要ですが、反射や傷の防止に対して効果が高いのが特徴です。

 曇り止めはメガネナカジマでとくに売れている2種類、液体タイプのパール「PURE 200」とジェルタイプの「Extra ANTI-FOG」を選びました。どちらもミニサイズなので持ち運びに便利、かつ値段も手ごろなのが特徴です。

パール PURE200 メガネのくもり止め
(pure-kumori)

全メガネレンズ用 液体タイプ ミニサイズ

株式会社パールから出ている携帯サイズのメガネの曇り止め。メガネケースやポーチにすっぽり入るミニサイズなので外出先でのこまめな塗り直しにぴったり。塗りやすく、液量の調整もしやすいので便利です。

タイプ 液体タイプ
容量 12ml
ボトルサイズ 長さ70mm×幅18mm
¥220 税込

Extra ANTI-FOG GEL LENSCLEANER
(Extra-ANTI-FOG-GEL)

全メガネレンズ用 ジェルタイプ ミニサイズ

チューブ状の持ち運びに便利な携帯サイズの曇り止め。マルチコートなどのメガネレンズに対応する、強力な曇り止め効果を持った新しいタイプのレンズクリーナーです。1本で約30〜50回位ご利用頂けます。

タイプ ジェルタイプ
容量 5g
ボトルサイズ 長さ55mm×幅15~25mm
¥550 税込

防曇レンズと曇り止めの比較

値段に対する効果の継続時間

 防曇レンズのメガネナカジマでの価格は「BDコート」と「KUMORI291プラス」どちらも税込5,500円になります。効果が継続する期間については、「KUMORI291プラス」が約2年間で、「BDコート」は明記されおりません。「KUMORI291プラス」の場合は1日あたり7.6円払っている計算になります。

 曇り止めについて、「PURE 200」のメガネナカジマでの価格は税込220円で容量は12mlに、「Extra ANTI-FOG」のメガネナカジマでの価格は税込550円で容量は5gになります。それぞれ大体の使用量を仮に置いて値段に対する効果の継続時間を計算していきます。メガネレンズを触らず、レンズをクロスで拭き直ししないという想定で考えています。正確ではないため、あくまでも目安としてお考え下さい。

 まず、液体タイプの「PURE 200」です。もし1日当たり1回塗りなおす必要があり、1回あたりの使用量が0.1mlと仮定すると、120日間持つ計算になります。また、その場合1日あたり1.8円かかる計算になります。つづいて、ジェルタイプの「Extra ANTI-FOG」です。もし1日当たり1回塗りなおす必要があり、1回あたりの使用量が0.1gと仮定すると、50日間持つ計算になります。また、その場合1日あたり11円かかる計算になります。
 この計算の場合は、「PURE 200」>「KUMORI291プラス」>「Extra ANTI-FOG」の順でコストパフォーマンスが高いということになります。しかし、あくまでも仮の計算であり、使用方法などによって大きく変わるという点にご留意ください。

反射のしやすさ

 防曇レンズの「BDコート」はマルチコート(反射防止コート)がついています。こちらの反射防止コートというのは、レンズが電気や太陽などの光に当たった際、反射によってものが二重に見えたり、ものが見えにくくなったりするのを防いでくれるものです。一方で、防曇レンズの「KUMORI291プラス」は反射防止コートがついていません。そのため、「KUMORI291プラス」を使用する際はレンズ表面がぎらつきやすくなります。とくに暗い場所での運転時には街灯やヘッドライトの映りこみに注意する必要があります。

 通常のレンズにおいて、反射防止コートは標準搭載されています。曇り止めの場合はその反射防止コートがついたレンズの上から塗ることになるため、「PURE 200」と「Extra ANTI-FOG」どちらにおいても反射はある程度抑制されます。ただ曇り止めが薄い膜となってレンズに残るような形にはなるので、見え方は通常とやや変わります。また曇り止めの塗る量とどの程度拭き取るかによっても見え方が変わるためご自身で見えやすい範囲に調整するようにしてください。

汚れのつきやすさ

 通常レンズはレンズの一番外側に撥水コートが付いているため、水をはじきやすく汚れが付きづらい、もしくは汚れが付いてもすぐ落ちるような加工になっています。一方で、防曇レンズはレンズの一番外側が曇り止めのコーティングになっています。この曇り止めのコーティングは親水性を高めるものであり、レンズ表面に付着した水をレンズ表面になじませることで曇りと呼ばれる現象を防いでくれます。そのため防曇レンズはどちらにおいても、水分や水溶性の汚れなどは吸着しやすく通常レンズと比べると汚れは付きやすいです。

 ただ、防曇レンズの「KUMORI291プラス」は従来の手入れの大変さや汚れの拭き取りにくさを改善するために開発された防曇レンズになります。そのため、従来の防曇レンズよりは汚れがクロスなどで拭き取りやすいつくりになっています。

 「PURE 200」と「Extra ANTI-FOG」などの曇り止めの場合、通常レンズの上に塗布した状態では撥水コートを覆ってしまうようなかたちになるため汚れは付きやすいです。もちろん曇り止め剤を塗っていない通常レンズの状態であれば、汚れは付きづらいです。

傷のつきやすさ

 防曇レンズの「BDコート」は傷を防ぐコーティングであるハードコート(キズ防止コート)がついているため、ある程度の軽い傷であれば防ぐことができます。一方で、防曇レンズの「KUMORI291プラス」はメーカーサイトに「通常レンズと比べるとレンズにキズが入りやすい」との記載があるため、キズ防止コートが入っていないか通常よりも弱いコートである可能性があり、傷に対してはあまり強くないと思われます。

 通常レンズにおいてはキズ防止コートが標準搭載されています。曇り止めはキズ防止コートがついたレンズの上から塗ることになるため、「PURE 200」と「Extra ANTI-FOG」どちらにおいてもある程度の軽い傷であればレンズへのダメージは防ぐことができます。ただ、曇り止めを繰り返し使う場合は、拭き取る際の摩擦や曇り止めの成分にさらされる時間の蓄積により、レンズの素材やコーティングに対する負担が増えていき、傷やコーティングの剥離につながる可能性があります。

ほかの加工やクリーナーなどとの相性

 防曇レンズは「BDコート」と「KUMORI291プラス」どちらにおいても、カラーのみオプションの加工を付けることができます。また曇り止めコーティングがダメージを受けてしまうため、レンズの上からほかのお手入れグッズ(クリーナーなど)を使用したり付属ではない曇り止めを使用したりすることはできません。

 「PURE 200」と「Extra ANTI-FOG」などの曇り止めの場合は、基本的にはカラーレンズやブルーライトレンズなど、どのオプションのレンズに使用しても問題ありません。ただ、ポリカーボネート素材のレンズの場合は、レンズ素材が薬品に強くないため曇り止めの使用は控えた方が良いです。また曇り止めは長時間レンズ表面にとどまることで効果を発揮するもののため、使う機会が多ければ多いほどレンズコーティングへの影響が大きくなり、レンズの劣化がはやくなる可能性はあります。

それぞれの効果を最大にさせる手入れの方法

 防曇レンズの「BDコート」はレンズの曇り止め効果が薄れてきたとき、専用のメガネ拭きでメンテナンスする必要があります。また、レンズに水や油脂成分が付着したまま放置しておくと、水ヤケやシミの原因になったり汚れが落ちなくなったりする可能性があるため、出来るだけ早く拭き取る必要があります。

 防曇レンズの「KUMORI291プラス」は「BDコート」と違い、特別なメンテナンスは必要ありません。もしレンズに汚れや水分が付着した場合は、普段のメガネと同じように、水道水で汚れを洗い流したあと水分を拭き取り、メガネ拭きで優しく拭きあげるようにしてください。

 「PURE 200」と「Extra ANTI-FOG」などの曇り止めの場合も、通常のメガネレンズを使用している場合は「KUMORI291プラス」と同じようなメンテナンスになります。また、効果を最大にしたい方は以下のような使い方を推奨いたします。

  1. 水洗いやクリーナーなどでレンズ表面の汚れを落とし、レンズ表面をしっかりと乾燥させる。
  2. 曇り止めをレンズに垂らし、指など曇り止めを吸収しにくいもので塗り広げる。
  3. 曇り止めがなじむまでしばらく待つ。
  4. メガネ拭きなどの柔らかい布で余分な曇り止めを拭き取る。(完全に拭き取ると効果がなくなってしまうため、軽く拭きあげてください。)

 以下の表ではそれぞれの商品において、特徴が通常のメガネとほぼ変わらない場合は「○」、やや劣る場合は「△」、かなり劣る場合には「×」を付けて評価しています。あくまでも筆者が調べた主観となりますのでご参考程度にご覧ください。

まとめ

 防曇レンズと曇り止め、どちらを使うかという疑問についてですが、それぞれメガネを使う用途によって決めるといいと思います。常にマスクや防護服をつけたり蒸気が多い場所で活動したりなど、年中曇りやすい環境にいる方、もしくは保護メガネやスノーゴーグルに取り付けるSNOWMASKなど用途の決まったレンズをつくる方には防曇レンズをおすすめしたいです。そして、冬場や花粉症の時期など、一定の期間のみ曇りが気になる方であれば曇り止めをおすすめします。

 この記事を読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。疑問点は解決したでしょうか。この記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。気になった方はぜひご相談ください。

店舗でのお買い求めについて

こちら記事でご紹介した商品はメガネナカジマの店舗で購入することができます。
もし興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、ご来店お待ちしております。
店舗の場所はJR南武線の中野島駅の目の前。
詳細は以下のとおりです。

住所:〒214-0012 神奈川県川崎市多摩区中野島3-14-2
定休日:木曜日(詳細は営業日カレンダーを御覧ください)
営業時間:10:00〜19:00
※商品の在庫がない場合もございます。ご了承ください。