CLAYTON FRANKLIN クレイトンフランクリン 616


静かなる上質感クレイトンフランクリン「CF616」

メガネナカジマではすっかりお馴染みとなっているブランド、クレイトンフランクリン。一見すると海外ブランドのような印象を受けますが、実はすべて福井県鯖江市で生産されている、純国産のアイウェアブランドです。

日本国内での取り扱いがまだ少なかった時期からご紹介を続けてきたこともあり、私自身にも強い思い入れがあります。ここ最近の目覚ましい活躍を、非常に嬉しく感じています。

クレイトンフランクリン最大の魅力は、何と言ってもその細身のフォルムに凝縮された、日本の優れた技術力です。特に、プラスチック素材を手作業で削り出したり、金属とのコンビネーション構造を丁寧に仕上げたりと、非常に高度な製造技術が求められます。

その繊細で美しいコンビネーションフレームは、日本製ならではのクオリティとデザイン性を兼ね備えながら、手の届きやすい価格帯で提供されており、他に類を見ない存在と言えるでしょう。


クレイトンフランクリンCF616の魅力に迫る

さて、ここからはクレイトンフランクリンのモデル「CF616」の魅力についてお話ししたいと思います。

CF616は少し前に発売されたモデルで、長らく定番としてラインナップされてきました。とはいえ、当初は他のモデルに比べて際立った特徴があるわけではなく、静かに支持される存在でした。

しかし数年前、アーティストの藤井風さんがプライベートでこのモデルを愛用されていることが話題になり、注目度がじわじわと高まってきました。実際、有名人がどれだけ掛けていても全く反応のないモデルも多く存在します。そう考えると、CF616にはやはり人を惹きつける何かがあるのだと感じます。

私のような眼鏡に携わる者の目から見ると、CF616は非常に細やかでデリケートな仕上がりが印象的です。その繊細な造りからは、クレイトンフランクリンならではの高い技術力がしっかりと感じられます。また、やや大きめに設計されたシェイプは、小顔効果もあり、性別を問わず多くの方に受け入れられている理由の一つでしょう。


CF616の細部を解説

さて本題のCF616を紐解いていきます。

CF616は、正面から見ると非常にオーソドックスなクラシックボストンシェイプのフレームです。主張しすぎず、程よい存在感で顔なじみも良い。そのため、一見すると「よくあるメガネ」と思われるかもしれません。しかし、このモデルが多くの人に長く支持されている理由は、その“見えない部分”にこそあるのです。

最大の魅力は、フロントリムの裏側に施された金属製のバックフレーム構造にあります。プラスチックフレームの内側に、見えない形で金属パーツが仕込まれており、それが全体の剛性を高め、フレームの“ヨレ”や“ねじれ”を防いでくれるのです。

実はこのような構造を採用しているブランドは、非常に限られています。多くのアイウェアブランドでは、コストや手間を考慮し、補強をブリッジ部分のみに留めることがほとんどです。しかしクレイトンフランクリンは、フロント全体にしっかりと金属の補強を加えるという、丁寧で妥協のない設計を行っています。

もちろん、このバックフレーム構造を実現するには、高度な加工技術と多くの手間が必要です。製造工程は複雑化し、コストも上がります。それでもなお、クレイトンフランクリンはこの構造を採用し続けています。そこには、単なる「デザイン」ではなく、「道具」としての眼鏡の耐久性や実用性を追求する姿勢がはっきりと現れています。



近年のアイウェア業界では、下積み経験がなくても“メガネデザイナー”を名乗り、スタイル重視のアイウェアを企画・販売するケースが増えてきました。確かに、ファッション性や新しさは市場で注目を集めるポイントではありますが、構造や使い心地にまで深く踏み込めるブランドは多くはありません。

その点、クレイトンフランクリンは鯖江の職人たちとともに、長年にわたって製造技術と品質を追求してきたブランドです。見た目だけでは語りきれない「構造としての美しさ」や「長く使える信頼感」を兼ね備えており、だからこそCF616は、藤井風さんのような感性の鋭い人々に自然と選ばれるのかもしれません。

華美な装飾や奇をてらったデザインではなく、実直な作り込みと見えないところへのこだわり

CF616は、そんな“静かな名品”と呼ぶにふさわしい1本です。



CF616の魅力は、構造面だけでなく、その絶妙なレンズシェイプにも現れています。クラシックなボストンスタイルを踏襲しつつ、ほんの少しだけサイズ感を大きめに設計されており、そのわずかなバランスの違いが、掛けたときの印象をグッと現代的に仕上げてくれます。

一般的に、メガネのレンズシェイプは、レンズの厚みや収まりを考慮してやや小さめにデザインされることが多いのですが、CF616は縦幅にしっかりと余裕があり、横幅もやや広め。これにより、レンズの存在感を保ちながら、顔立ちを自然に引き締める効果も生まれます。小顔効果を狙いたい方にも、無理なくフィットするバランス感が魅力です。



さらに、繊細なプラスチックフレームでありながら、実用性を犠牲にしていない点も見逃せません。ノーズ部分には、日本人の鼻骨形状にしっかりフィットする「クリングスタイプ」の可動式鼻パッドが採用されており、細かな調整が可能です。これにより、フレームのズレや圧迫感を防ぎ、一日中快適に掛けていられる設計となっています。

また、テンプル部分には金属芯が内蔵されており、スリムでありながら高い耐久性を確保。しなやかな掛け心地と、安定感のあるフィット感を両立しています。耳元にかかる部分も程よく湾曲しており、長時間の装用でも疲れにくいのが特徴です。

こうした細部へのこだわりが、CF616を単なる“おしゃれなクラシックフレーム”に留めない、完成度の高い一本へと昇華させています。見た目の美しさと機能性が共存する、まさに“使う人のための眼鏡”と言えるでしょう。


いつもながら長々と一つのメガネについて熱く語る“思えば、メガネは美しい”。 1つのメガネにストーリーがある事は非常に少ないのですが、プロのメガネ屋としてこのメガネの凄さを解説していけたらと思っています。 ちゃんとモノづくりをしているブランドや人が評価されるようになって欲しいのという想いがあります。メガネの良さを見抜けないバイヤーがとても増えました。 いつもながら、一つのメガネについてこうして長々と熱く語ってしまいました。

「思えば、メガネは美しい。」

この言葉の通り、私はメガネをただの視力矯正器具やファッションアイテムとしてだけではなく、“美しさ”を持ったプロダクトだと思っています。そして、その“美しさ”は、デザインや素材の話だけではなく、背景にあるストーリーや、どれだけ丁寧につくられているかという「ものづくりの姿勢」にも通じていると思うのです。

近年、メガネ業界では、“見た目”や“ブランドイメージ”だけで仕入れを決めるバイヤーが増えているのを感じます。構造や機能、作り手の意図をきちんと読み取る力がなければ、本当に良いメガネは世に出ることなく埋もれてしまいます。

だからこそ私は、クレイトンフランクリンのように、目立たなくても真面目に、正しく、丁寧にものづくりを続けているブランドや職人たちが、もっと評価される世の中になってほしいと心から願っています。

メガネを選ぶ目、そしてその背景にある価値を見抜く目。そうした“まなざし”を、もっと多くの人に持っていただけたら。そんな想いを込めて、今日もまた、1本のメガネについて語っています。








 外出時の日差しやまぶしさが気になる方はカラーレンズや調光レンズを入れるのもおすすめです。カラーレンズとも相性が良く、落ち着いた優しい雰囲気に見せてくれます。

10